破産をする場合、手持ちの財産はすべて差し出さなければいけないと聞きましたが、老親を施設に送り迎えするためにどうしても必要な自動車も持って行かれてしまうのでしょうか?
必ずしもそのようなことはありません。
東京地裁の基準でいえば、処分見込価格が20万円以下の自動車は債権者に対する配当の引当にしなくてよいこととされていますので、業者の査定書などにより処分見込価格が20万円以下であることを説明できれば、自動車を持って行かれるということはありません。
また、普通乗用自動車については税法上の減価償却期間が6年とされていることから、登録後6年を経過した自動車であれば、特に価値が高いとみられる外国車・限定車・改造車等を除いて価値がないものと取り扱われますので、査定書を取得するまでもなく自動車を保有し続けることができます。
処分見込価格が20万円を超える自動車については、原則として破産管財人が売却してお金に変え代金を債権者に配当することになりますが、処分見込価格分のお金を代わりに差し出すことによって自動車自体は保有し続けることができる場合もあります。
また、破産管財人が自動車を売却する際に、親族や知人に買い取ってもらい、買い取った親族や知人から自動車を借りるという方法もあります(実質的には、親族や知人から援助を受けたのと同じことになります)。
以上のような方法が難しい場合でも、自動車の必要性が高い場合には、自由財産の拡張という制度により特別に自動車を売却しないですむようにできる可能性があります。