破産した場合には、どのようなデメリットがありますか?
①破産したことが住所・氏名とともに官報に公告される
②免責決定が確定するまでの間、就いてはいけない仕事がある
③信用情報登録機関に破産したという情報が登録される(いわゆるブラックリスト)
④免責決定から7年間はもう一度免責を得ることができない
⑤お手持ちの資産については、すべて債権者のために差し出す必要がある
等が挙げられます。
もっとも
①官報については、一般の方が官報を読むことは少ないと思われますし、官報には日本全国の裁判所の多数の破産者の情報が登載されますので、官報に掲載されることによって破産したことが親戚、知人、勤務先等に知られてしまうということは、通常は考えにくいと思われます。最近では、官報の情報を電子化して提供するサービスもありますので、以前と比べれば特定の方の破産情報を検索しやすくはなっており、破産したことが親戚等に知られてしまうリスクが皆無であるとはいえませんが、その可能性は、高いものとはいえないでしょう。
②就職制限については、制限される職業は弁護士・税理士・保険外交員・警備員等に限られますし、制限される期間も破産手続開始決定から復権までの期間(通常は数ヶ月程度)に限られますのであまり影響がない場合が多いでしょう。
③ブラックリストについては、破産申立てをするような場合には、既に支払を遅滞していて延滞情報が登録されている場合が多く、破産手続によって新たに不利益が生じるわけではない場合も多いでしょう。
銀行系の信用情報登録機関(全国銀行個人信用情報センター)では延滞と破産とで情報の登録期間を変えていますので(延滞5年、破産10年)、その意味では破産によって情報が残ってしまう期間が長くなるということもいえますが、自力で延滞が解消できないのであれば、結局は破産しなくとも延滞の情報が登録され続けますので大きな差があるとまではいえないかも知れません。
④免責については、7年以内にもう一度破産をする場合に問題となるものであり、今後は健全な経済生活を送りたいと考えているお客様にはあまり関係がないといえます。
⑤財産を差し出す必要性については、本来は全額弁済しなければならない債務をいわば棒引きにしてもらうための負担としては、やむを得ないというべきですが、家族のことなども考え、この点で破産申立てに踏み切るかどうか迷う方も多いように見受けられます。
このように考えてみると、破産手続を利用するデメリットは、世間で考えられているイメージよりは小さいといえるかも知れません。