祖父の代からずっと住んでいる借地上の建物の老朽化が激しく、建替えをしようと考えています。
建物の名義は曾祖父のままになっており、そのことはずっと気にはなっていたのですが、祖父のきょうだいとは行き来もないため、どうして祖父や父に名義変更がされていないかの事情もよく分からないまま放置してきた状況です。
私の一存で建物を壊してしまってはいけないのでしょうか?
建物の所有者があなた一人なのであれば、建物をどう管理処分するかはあなたが自由に決めて良いことですので、建替えをすることも自由であるのが原則です。
しかし、登記名義がひいおじい様のままであるとすると、ひいおじい様が亡くなられて以降、遺産分割がなされないまま放置されてきている可能性が高いように思います。
そうだとすると、法律的には、これまでもひいおじい様の法定相続人が建物を共有している状態が続いてきたことになり、遺産を共有しているメンバーの一人に過ぎないあなたが勝手に建物を壊すことはできません。
共有物である建物の取壊しには他の共有者全員の同意が必要であると考えられ(民法251条)、勝手に取壊しをした場合、他の共有者から損害賠償請求等を受ける可能性があります。
したがって、他の相続人(おじい様のごきょうだいが既に亡くなっている場合には、そのお子様やお孫さんが順次相続人になります)の方と連絡を取って対応を協議する必要があるでしょう。このような場合、一般的には、他の相続人の方に判子代と呼ばれる少額のお金を支払って、他の相続人の方の相続分の譲渡を受けたり、あなたが建物を相続するという内容の遺産分割協議を了承してもらったりすることになります。
ただし、借地上の建物の場合、借地権も相続財産になりますので、たとえ建物が老朽化した建物であっても借地権を含めた評価をすると高額になることがあり、低額の判子代では他の相続人の方が納得しない場合もあるかも知れません。このような場合も含め話し合いがうまくいかない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることも考えた方がよいでしょう。
なお、借地上の建物を取り壊す場合には、相続の問題とは別に地主さんのとの関係で別途考慮すべき事柄があるなど、様々な場面で法律的な問題を生じることがありますので、一度弁護士に相談することをお勧めします。